◎これからの農業振興について
こんにちは。進政会の川内賢幸です。元気みなぎる都城目指して活動してります。よろしくお願いします。
今回は、これからの農業振興について、安心安全な子育て環境の充実について順次質問してまいります。
本市の基幹産業は農業であります。農業を元気にすることが、まちの元気につながると考えております。農業を取り巻く状況は、年々変化しており、その変化に現状が追い付かない、追いつけない部分が多々あると感じております。
特に、近年の課題である担い手減少や高齢化の問題、中山間地における条件の悪い農地の問題、耕作放棄地問題など多くの課題が山積しております。
と同時に、対策として新規就農者支援事業やスマート農業、農地中間管理管理機構による農地の集積・集約、6次産業化の推進や農産物輸出強化など、国・県・市それぞれで様々な支援・取組が行われているのも実情です。
本市として、これらの支援策に取り組みながらいかに「成果」を出していいけるのかが、これからの5年、10年で求められております。更には、30年先、50年先の基盤を今から構築する必要性もあると私は考えています。
本市の経済を支えている農業は、平成29年度値で農業産出額771.5億円に上り、市町村別の農業産出額ランキングでは全国2位となりました。農業産出額の内上位部門は豚、牛、ブロイラーの順となっており、豚と牛は全国1位、ブロイラーで全国3位という数値になっています。名実ともに日本一である養豚分野においては、農業産出額が29年度データですが221.4億円あり、平成30年度の飼養戸数は85戸、飼養頭数は389,129頭に上ります。
このような状況の中、昨年9月9日、国内で26年ぶりとなる豚コレラ(家畜伝染病予防法に基づく法定伝染病)が岐阜市内の農場において発生しました。今年に入ってもおさまるところをしらず、岐阜県、愛知県、長野県、滋賀県、大阪府、三重県、福井県で豚コレラの蔓延が続いており、8月末愛知県豊田市の農場で39例目が、先週5日には、岐阜県中津川市で40例目が相次いで確認されております。感染原因、経路が不明であり、後手後手の対応、危機意識の欠如があるのではと感じております。
そこでお尋ねします。本市における豚コレラへの防疫体制、取組はどうしているのかお尋ねします。以上、壇上からの質問を終わり、以降は自席にて行います。
【農政部長】
本市におきましては、宮崎県から提供される豚コレラ発生に関する最新の情報を、養豚農家に対して情報提供しております。また、自衛防疫推進協議会が実施主体となり、国の「次世代の畜産を守る家畜防疫対策事業」を活用した消毒用機器の導入や防護柵設置の補助事業に取り組んでおります。
答弁を聞くに、国の事業等を活用しながら、自衛をすることしかなく、対応としては現状厳しいかなと感じております。その中で、現地の対応や状況を把握して、対応をしていく、考えるというのはとても重要であると考えます。
先月8月29日に、豚コレラへの防疫意識を高める目的で、県が行った家畜防疫研修会では、岐阜県家畜防疫対策課の課長を講師として行われ、JA,市町村職員、畜産農家ら約200人が参加したとの報道がありました。
この研修会を受けて、本市として今後どのようなことに取り組むべきか、どのような課題が見えたかお尋ねします。
【農政部長】
研修においては、「岐阜県における豚コレラの防疫対応」、「アジアにおける豚コレラ及びアフリカ豚コレラの発生状況」、そして「農場における効果的な獣害防止柵の設置方法」の3点について研修が実施され、豚コレラ侵入への危機感と防疫対策の重要性を再認識したところです。
今後の課題としましては、各農場の防疫対策の徹底と野生イノシシの侵入防止対策への取り組みが重要と考えております。
今回の豚コレラについては、「イノシシ関与が有力」とはされていますが、はっきりしておりませんのでその点は非常に不安です。答弁の中で、イノシシの侵入防止対策の取り組みが必要との発言がありました。本年7月31日に農林水産省が開いた防疫対策本部の会合の中で、吉川農林水産大臣から、今後の対策として全国の全農場を対象として、防護柵設置を義務付ける旨の話が出た。この件を受け、今後の対応はどのように協議されているか。県との協議はされているのかお尋ねします。
【農政部長】
今年7月、国が侵入防止柵の設置に対する経費の一部補助を行う「アフリカ豚コレラ侵入防止緊急支援事業」を設けました。現在、宮崎県が、県内の養豚農家に対して要望調査を行い、1回目の調査では市内の40農場から実施要望があったようです。
なお、現時点では、防護柵設置の義務付けについての具体的な情報は入ってきていない状況ですが、引き続き国、県の動向を注視してまいります。
また、今後、事業が実施される場合は、県と協議を行ない、事業の着実な実施に万全を期したいと考えております。
答弁いただいた、「アフリカ豚コレラ侵入防止緊急支援事業」は、事業予算として国は70億円を準備し、ハード事業として措置し、施工費用を含む事業費の1/2を補助する事業です。農場周辺柵の設置上限単価10,000円/m、農場出入り口(搬出・搬入)稼働柵(門扉等)上限単価40,000円/mを補助するものです。
報道の通り、全国の全養豚農場で防護柵設置となれば、本市の養豚規模からすれば、相当な距離と費用負担を強いられることになる。更には、飼養管理基準も改正されることから、養豚農家にとって費用的負担はもとより、心理的負担も増えるのではと心配しております。門扉や衛生管理ルームの設置も考えれば、作業効率も変わってきます。
ある養豚農家さんに畜舎周囲柵で囲むとどれほどかと尋ねると、1kmあるとの回答でした。「アフリカ豚コレラ侵入防止緊急支援事業」を活用した場合、上限の1m10000円計算として500万円は手だししなければなりません。飼養頭数が増え、大規模経営体が増えている本市の現状ではより多くの費用負担を強いられる農家さんが多数いるはずです。
先月、三重県と長野県が国の補助に上乗せ補助をする形で、防護柵設置費用を全額負担する旨の報道がありました。答弁では、国や県の動向注視と言われましたが、日本の畜産業をけん引するトップの自治体として、より突っ込んだ対応が求められるのではないでしょうか。もし、本市に侵入すれば、口蹄疫と同じように経済や市民生活に影を落としかねません。
先月、会派視察で岐阜県各務原市へ行き、愛知の中部国際空港を利用して宮崎に戻りましたが、役所、幹線道路、空港、どこを見ても豚コレラの発生している地域とは思えないほど、消毒の協力、車両消毒ポイント、啓発、空港での消毒マット設置等、全くもってありませんでした。その状態の県に足を踏み入れた身として、宮崎に帰るのが本当に怖かった。宮崎空港設置の防疫マットを念入りに踏みしめました。
今回の件で私の中にあるのは、2010年に発生した口蹄疫での出来事です。当時、私は、農業が元気になれば都城の元気につながるとの思いから、農家さんを取材し、フリーぺーパーにして発行する仕事しておりました。2010年4月に口蹄疫の発生が報道され、次第に経済が滞り始め、農家さんへの取材が制限され、同年6月9日に都城で発生してからは、毎日が情報収集と消毒徹底の啓発、酢を用いた自主消毒の協力など、終息宣言がでるまで本当に壮絶でした。農家の皆さんは私の想像をはるかに絶する体験であったろうと思います。もちろん役所を含めた関係者の皆さんも。そういった経験をしている本市だからこそ、言えること、突っ込めること、できることがあるはずです。
だからこそ、養豚全国1位の自治体として、率先して行動を起こしてほしいと思います。今回の件は、本市農業基盤にとって、経済にとって大惨事になることは見えています。万が一にもあってはなりませんが、常に万全の態勢をとれるようにこれまで以上に取り組んでいただきたいと思います。もちろん、農家の皆さんの声も十分に聞いて頂くことも申し述べておきます。
次に、これからの農業の形の一つスマート農業について質問いたします。本市では、本年度の事業として、スマート農業セミナーを実施しています。6月5日のスマート農業セミナーへの参加者はどれほどだったのか。どういった方々が参加されたのか。今後の予定はどうなっているのかお尋ねします。
【農政部長】
本年6月5日に、ウエルネス交流プラザで開催しましたスマート農業セミナー及び展示会には、農家をはじめ、JA、市などの行政関係者等、140名の参加がございました。
また、展示会では、関連メーカー19社による最新技術の紹介や機器の展示、個別相談を実施したところです。
今後の予定として、本年度は、農閑期となる冬場に耕種・畜種に分けて農機メーカー等からの技術提案を行うワークショップの開催を計画しおります。今後とも、定期的にセミナーや展示会を開催し、スマート農業の情勢や先進事例等の情報共有を図りたいと考えております。
140名の参加があったとの答弁でしたが、うち農業者の方も21名ほど参加されたと聞いております。2回目が計画されているようですので、次回はより多くの農家の方々に参加を頂き、これからの農業について一緒に取り組める環境づくりも整えて欲しいと思います。
次に、セミナーと同じく本年度行われている事業としてスマート農業モデル実証事業があります。実証モデルとして現在、露地農家、施設農家が認可を受けたと聞いています。どういったスマート農業に取り組むのか。追加のモデルはないか。これまでの申込実績についてお尋ねします。
【農政部長答弁】
本年度は、実証モデルを2件承認しております。
まず1件目が「トラクターの自動操舵補助システム」です。大根や甘藷など露地野菜経営を行う農業法人の取組みで、システム活用による経験の少ない若手オペレーターの育成や作業の効率化、作業精度の向上を目的として実証を行うこととしております。
2件目は、「ハウス内の統合環境制御システム」です。胡瓜栽培を行う施設園芸農家の取組みで、ハウス内外に設置した各種センサーにより温度や湿度等を測定し、作物に適したハウス内環境を創り出すための各種機器の制御を行うものです。更なる品質の向上と収量増加を目的として実証を行うこととしております。
また、追加分につきましては、8月に和牛生産農家による「牛の活動データを元に、最適な飼養管理を目指すシステム」の応募がございました。今後、審査検討委員会での審査を経て9月中に承認される予定です。
なお、これまでの申込実績につきましては、6月に実施しました第1回応募件数が3件、8月の追加応募件数が1件の計4件となっております。
先進的な農業に意欲的に取り組んでくださる農家さんがおられ、非常に期待をしているところです。認可数と申込数に差異がありますが、この1件のかたについては、承認後に経営的な優先事項により辞退されたと聞いております。実際に承認されたスマート農業については、県内でも導入実績がある技術で、導入後高収量や分娩間隔の短縮、受胎率、出荷頭数などに効果が見られており、今後の導入による経営力向上に期待したいと思います。
スマート農業を国が進める背景には、就農人口の減少や高齢化、人手不足解消など様々ですが、だれでも農業に参入できる基盤整備に取り組んでいると感じております。その裏付けとして、スマート農業で得られるデータを一括管理して、共有して活用する取り組みが動き始めています。
その点でお尋ねしますが、今回から本市で行うスマート農業モデル実証で得られるデータはどのように活用する予定なのか。国の進める農業データ連携基盤WAGRIへの加入についてはどうかお尋ねします。
【農政部長】
スマート農業モデル実証事業のさい採択を受けた農業者には、事業による成果について3年間報告していただくこととしております。また、モデル実証で得られるデータは、オープンデータとして成果の公表を行うものとしております。データをはじめ成果につきましては、地域農業者への情報共有を図り、産地強化やスマート農業技術の普及に繋げたいと考えております。
また、国の農業データ連携基盤、いわゆるワグリ(WAGRI)の活用につきましては、農業機械メーカーの壁を超えて様々な農業ICT、農機やセンサー等のデータ連携が可能になると伺っております。加えて、民間企業や研究機関、官公庁の有するデータやシステムが提供されることで、あらゆるデータの共有が可能になり、農業者が様々なデータを駆使した生産性の向上・経営改善に取り組めるものです。
ワグリへの加入につきましては、具体的な活用例が示された段階で判断したいと考えております。
地域農業者への情報共有を図り、産地強化やスマート農業技術の普及に繋げたいとの答弁で今後に期待したいと思います。
WAGRIへの加入については、今後判断とのことですが、自治体として加入しているところもありますし、本市の農業法人で加入している方もおられます。
一方で、先日、県の担当課長によるセミナーを受講した際に、私も含め参加された農家さんからも、宮崎版WAGRIに取り組めないかとの意見も出たとところです。この点も踏まえて、宮崎県の農業をけん引する本市としてのリーダーシップを発揮してほしいと思います。
ここまで、スマート農業に対する取り組みなどをお尋ねしました。スマート農業の技術については、実に多様なものがありますが、1経営体における耕地面積や飼養頭数などの拡大化が求められる現在、作業効率や人手不足、技術不足をスマート農業の活用で補っていこうとするものだと考えます。
7月に受けたセミナーでは、農林水産省の説明、日本のスマート農業分野をリードしている農研機構の説明を受け、民間大手農機具メーカーにも行き、スマート農業による今後の日本の農業の在り方を知ることが出来ました。
また、会派視察で訪れた新潟市では、国の認可のもとスマート農業に先進的に取り組んでいる現状を目の当たりにしました。
夢が膨らむ一方で、これからは1経営体の耕作規模が大きく拡大していく時代になるとの話もあり、本市の農業基盤でスマート農業技術を最大限活用するためには、現状での導入は厳しい部分もあると思います。
そこで、農地の基盤整備ついてお尋ねいたします。耕作放棄地の解消や大規模経営体への作業効率化、農地の有効活用などを目的に、国は農地中間管理機構を立ち上げました。農地中間管理機構の主な目的は、農地の貸し手と借り手を結ぶ役割をすることであり、農地の集積・集約を目的としています。
この農地中間管理機構の取組実績として26年度~30年度までに1358haの実績がありますが、耕地面積に占める機構借受面積の割合は10.8%にとどまっています。現状で見えている課題は何かお尋ねします。
【農政部長】
農地中間管理事業の現状の課題といたしましては、未相続農地の同意取得が困難であること、農地の貸し借りに係る手続きが煩雑で時間もかかること、耕作条件の悪い農地では耕作者が確保しづらいこと等があげられます。
本年5月に、農地バンク法が改正され、秋に施行予定でありますが、地権者と耕作者の農地の貸し借りが判り易く総括された様式の採用や、事前に権利者間の同意徴収を行うことで、従前の事務手続きの簡素化が図られることとなっております。
また、この法改正に伴い、地域農業の計画書である人・農地プランを実質化することが、関連事業や地域集積協力金等の獲得要件となるため、今後一層推進していく必要があると考えております。
なお、人・農地プランの実質化とは、地域が主体的に、地域農業の将来についてのアンケート調査や話し合いを行い、農地や耕作者等の情報を記載した地図を活用して、今後の農地活用プランを作成することを意味します。
最後に、個人農家に対しましては、地域内の農地の借り手側となる担い手農家となるか、貸し手側となる農家になるかを判断いただくため、人・農地プランの作成に積極的な参加を働きかけたいと考えております。
今年の5月に農地バンク法が改正されて、かねてより言われていた人・農地プランとの関連付けがされるとのことで、より地域の実情に即した取り組みができるのではと期待しております。
しかしながら、スマート農業はもとより大規模経営体による農業新時代を生き抜くためには、作業の効率化への環境整備は必要不可欠です。そういう意味では、農地の集約化は今後の農業において、本市の農業基盤安定化においてもますます求められると感じております。
そこでお尋ねしますが、農地中間管理事業借受実績1358haの内、担い手への集約面積の状況はどうなっているか。実績と集約率をおたずねします。
【農政部長】
農地中間管理事業における借受実績である1,358ヘクタールのうち、担い手への集約面積は約45.5ヘクタールで、この実績を基に算出した集約率は3.35パーセントとなっております。
実施地区の森田原地区では、約10.4ヘクタールの集約化を図っております。
また、今後、祝吉上流地区において、約6.6ヘクタールの集約化を予定しております。
先ほど答弁いただいたように、未相続や貸し手借り手の抱える課題などがあり集約は難しい面があると感じております。しかしながら、今後はこれを進めていかなければなりません。安定した農業ができる、平場の農地集積・集約はもちろんですが、耕作放棄地や作業効率の悪い農地がある中山間地域においては、平場に比べて課題が山積していると感じてます。
従来の農地バンク法では、地域集積協力金を貸し付ける地域として、平場も山間部も一色単に設定されておりましたが、今回の改正により、従来から声の上がっていた中山間地域が別に設定されました。一般地域と中山間地域にわけられ、中山間地域での最低活用率要件が平地の1/5となりましたが、本市の耕地面積の内、中山間地域はどの程度あるのか。また、中山間地域は今後どのように取り組めば、地域集積協力金の要件に合致するか、中山間地域で農地中間管理事業を推進する上での課題、今後の取り組み方針についてお尋ねします。
【農政部長 】
本市における中山間地域は、旧4町に中郷地区と西岳地区を加えた6地区となっており、本市の耕地面積約1万2,500ヘクタールに対して約9,131ヘクタールで約73パーセントを占めております。
地域集積協力金の要件を満たすためには、地域ごとに人・農地プランの実質化を図り、農地中間管理機構を通した農地の貸し借りが必要となります。
中山間地域で農地中間管理事業を推進する上での課題としまして、一般地域と比べて高齢化による担い手不足が更に進んでおり、加えて、鳥獣被害、不整形地等の耕作条件が悪い農地も多いため、耕作者が見つかりにくく事業の推進が厳しいことがあげられます。
これらの課題解決に向けて、中山間地域での集落営農組織の立ち上げや農地の基盤整備等の地域の実情にあった対策を、地域や中心となる担い手農家、農業委員、JA、そして県と共に、連携して取り組みたいと考えております。
今ご答弁いただきましたが、全体の73%が中山間地域にあたるということで、今回の改正は本市にとってプラスに働くと期待しております。しかしながら、答弁いただいたように、鳥獣被害や不整形地、担い手不足などが深刻化している地域でもあります。中でも、農地の選別を行い、集積・集約を進めること及び集落営農組織立ち上げや農業法人立ち上げなどが求められてきます。私の地元山之口でも、現在農業法人立ち上げに向けた動きがあり期待をしております。
こういった課題解決のために、集積・集約の必要性を申し上げているわけですが、中山間地域では、不整形地や耕地面積が小さい圃場がたくさんあります。今後の日本の農業の在り方を考えると、農地の区画拡大などの基盤整備は喫緊の課題だと考えます。昨年度の畦畔除去による区画拡大の実績はどれほどあるのか。一枚当たり、平均でどれほどの区画拡大になっているのか。
【農政部長】
昨年度の区画拡大の実績としましては、全体で18.3ヘクタールとなっています。
件数は71件で、畦畔除去により一枚当りの平均面積は0.14ヘクタールから0.25ヘクタールへ拡大されております。
トータルで見ると18.3ヘクタールですが、件数が71件、平均拡大面積が0.25ヘクタール。いわゆる1反が2反になったわけですが、法人当たり数十町抱える経営体があることを考えれば、まだまだ先は長いようです。ぜひとも、農地の集積・集約と合わせて畦畔除去による区画の拡大化にもこれまで以上に取り組んでいただくよう申し述べておきます。
次に、安定した農業基盤を守るためには担い手が必要不可欠です。本市では、国の基準に当たらない親元での新規就農者などを対象に農業後継者等支援事業を行っており、好評をいただいておりますが、本年度から県の事業として親元就農者を支援する宮崎県農業人材育成事業が始まった。この事業はどういった事業なのか、本市の事業と合わせて活用できるのかお尋ねします。
【農政部長】
宮崎県の農業人材投資事業の目的としましては、本市と同様に新規就農者のうち国の農業次世代人材投資事業の交付対象とならない者に対し、経営開始資金を交付するものでございます。主な要件につきましても、県・市ともに規模拡大が要件としているところでございます。
本市の農業後継者等支援事業との違いにつきましては、対象年齢は、県の事業が
50歳未満に対し、市の事業は56歳未満となっており、交付期間は、県の事業が1回限りに対し、市の事業は2年間となっております。また、交付額は、県の事業が最大100万円に対し、市の事業は就農形態にもよりますが、年間最大で60万円と120万円となっております。
また、本市事業と県の事業を合わせた活用の可能性につきましては、現在、宮崎県農業経営支援課と協議を行っておりますが、本市としましては上乗せの支援は考えておりません。
本市の事業が、より地域性に富んだ事業であることがわかりました。県の事業については、本年度から令和4年度までを事業期間としており、新規就農者を平成29年度値406人から令和4年度には500人にすることを目標に掲げています。これまで以上に、県とも連携を図りながら担い手確保につなげて欲しいと思います。
次に、本市には県立農業高校がありますが、兼ねてから農業高校生の就農や雇用就農についてどうしていけばいいのかという話が出ております。
そういった背景もあり、現在、農業高校では就農率向上と地元定着をめざして、2年生の時期に農家で働きながら学ぶデュアルシステムによる取り組みを行っております。農業高校生はもちろんのこと、今後新規就農又は雇用就農につなげるには、どのような取組が有効と考えるかお尋ねします。
【農政部長】
農業高校生をはじめとした農業の担い手を、就農につなげるための有効な取組としましては、実践的な研修に対する支援事業と、経営開始直後の経営確立を支援する事業がございます。
実践的な研修に対する支援事業としましては、研修期間中の研修生に対する事業と、研修生を受け入れる農業法人に対する事業の2種類がございます。
研修生に対する支援事業としましては、県立農業大学校などの教育機関やみやざき農業実践塾などの研修機関で研修を受ける場合に、研修生1人当たり年間150万円を最長2年間交付する、国の農業次世代人材投資資金の準備型がございます。
また、農業法人に対する支援事業としましては、農業法人等が就農希望者等を雇用して実践研修する場合に、法人に対して年間最大120万円を最長2年間助成する国の農の雇用事業がございます。
次に、経営開始直後の経営確立を支援する事業としましては、市が窓口となり農業経営基盤を持たない新規就農者に対して、年間150万円を最長5年間交付する国の農業次世代人材投資事業の経営開始型がございます。
このほか、本市独自の農業後継者等支援事業において、新規参入者に対して年間
120万円を最長2年間、親元就農者に対して年間60万円を最長2年間交付し、支援しているところでございます。
従いまして、ただいま説明いたしました事業を、就農を希望する若者等に対して、関係機関と連携し、的確な事業を勧めることが重要であると考えております。
国でも新たな事業がスタートしており、今後の就農率向上につながればと期待をするところですが、国の農業次世代人材投資資金については、改悪ではないかとの声もあります。今後、基幹産業を農業とし、全国的な農業をけん引する自治体として、担い手の確保に向けて、積極的な事業提案や取り組みを関係機関と連携して行っていただきたいと思います。
ここまで、これからの本市の農業振興に質問してきましたが、これから先の農業基盤を構築するための期間が、これからの5年、10年であり、ここにいかに取り組んでいけるかが50年先の本市の未来を左右すると考えております。ぜひとも、先手先手で全国的に1歩も2歩もリードした取り組みを行っていただきますよう、国、県や関係機関、農家の方々とこれまで以上に連携を密にしながら、基幹産業農業発展に取り組んでいただくこと、このことを強く申し述べてこの質問を終わります。
◎安心安全な子育て環境の充実について
次に、安心安全な子育て環境の充実について質問してまいります。今回、9月議会において大変喜ばしい事業の提案がなされました。内容としては、子どもの医療費助成が小中学生まで拡大させるものであり、9月補正では関連予算が計上されています。これまでと比べて、予算額がどの程度増えるのか。財源はどうするのか。1医療機関での受診で月200円と示されているが、宮崎市と同じこの基準となった根拠は何か。完全無償化としなかった背景はどういったものかお尋ねします。
【福祉部長】
現行の乳幼児医療費助成制度の医療費助成につきましては、今年度当初予算
にて、約3億5千6百万円を計上しています。今回、中学生まで拡充した場合の医療費助成の総額が約5億1千万円となり、その差額である1億5千4百
万円が増額すると見込んでいます。
未就学児の助成額の約半分が県の支出金、残りが一般財源。小学生及び中学生は一般財源のみです。
県内他市の医療費助成を参考に、対象者の年齢及び自己負担の検討等を行っ
た結果、対象者を中学生まで拡充し、適正受診を促すという観点から一定の自己負担を求めることとしました。
過去の答弁では、中学生まで無償化した場合に約6億との答弁でしたが、適正受診の観点から、料金設定をしたことで財源の支出を抑えることにつながったと思います。
この件は私が議員になってから、毎年のように新規事業に出てこないか待っておりました。その間、乳幼児医療費助成を、350円、800円の2段階設定を、一律350円に是正いただきました。そして、現在は、乳幼児の医療費無料ときて、今回の提案。増税も始まることから、子育て中の方々には大きな安心につながると思います。
先日、議員有志で子育て中のママさんたちと座談会をした際に、医療費助成について多数の意見を頂きました。実例として、小学生のお子さんが休日にけがをされ、当番医を受診した。その後、専門病院へ代わり治療を続けたが、1週間で一万円以上の費用を要したとの話が出ました。今回、そのこと踏まえて質問予定でしたが、いい回答が出来ました。また、1型糖尿病や難しい病気のお子さんを抱えておられる保護者の方から、助かるとの声も届いております。これで、ようやくほかの自治体とも戦える環境ができたと思います。これからさきの取組にも期待をしております。
次に、通学路への防犯カメラ設置についてお尋ねします。この件は、昨年12月でも質問しており、答弁としては、学校、地域と連携して安全確保に努めるとの答弁であったかと思います。
一方で、全国的には子どもが事件に巻き込まれるケースが後を絶たない状況が続いており、防犯カメラの映像が事件解決につながるケースが多数あります。先月の夏休み終了が目前に迫った週末早朝に、山之口中学校の生徒が交通事故にあいました。幸い命に別状はないと聞いていますが、複数ヶ所骨折をする重体です。現在でも、はっきりとした事故原因がわかっておらず、事故原因不明のまま2学期が始まったことに、市民の間からは不安の声が寄せられております。この現場付近は、非常に多くの小中学生が登下校する場所であり、交通量が多いため、私も見守りで立つ場所の一つです。今回は、夏休み期間中ということもあり、目撃者が少ない状況です。
今回のケースも含めて、その時見守りをしていても防げない事故、事件はあります。しかしながら、前回もお伝えした通り、見守りで見送った後に無事だろうか、あの時交差点に立っていれば違っただろうか、などいろいろな自責の念を抱える方もおられます。そういった方々や地域の方々からは、相変わらず防犯カメラ設置についてのご意見があります。全国的にも、多くの自治体が通学路の防犯カメラ設置に取り組んでおります。あらためて、市として通学路への防犯カメラ設置に取り組み考えはないのかお尋ねします。
【教育部長】
通学路への防犯カメラの設置については、現在、教育委員会独自で設置する予定はないが、通学路における安全対策の充実については、大変重要であると認識している。
教育委員会、学校、保護者や警察等の関係機関との合同点検による危険箇所の把握をはじめ、見守り隊等、地域と連携しながら、引き続き通学路の安全に向けた取組を行っていく。
また、小学校の安全対策の一環として、ICタグを利用した登下校見守りシステムを全小学校に導入し、保護者が児童の登下校時刻を簡単に確認できたり、児童の捜索などの際に初動対応時の状況把握ができるよう環境を整えたところである。
さらに、学校においては、登下校時の安全に対する指導として、交通安全教室などの取組を推進するとともに、身の危険を感じた時の具体的な対処法について周知するなど、引き続き安全教育の充実を行っていく。
今回、同僚議員の質問をきっかけに、答弁いただいたICタグを活用した見守りサービスが始まりました。スピード感のある対応を評価しております。
一方で、保護者の方からは評価もある一方、学校に行くまで、学校を出た後についての不安が多く聞かれます。事件事故は、こちらのことを考えずに降りかかってきます。地域の高齢化や自治会の弱体化などが見られる本市だからこそ、通学路への防犯カメラ設置に取り組むべきと考えます。
全国的にも、通学路への防犯カメラ設置に取り組む自治体が年々増えております。こういった、先進自治体を調査していただき、防犯カメラ設置に取り組むよう改めて提案いたします。
次に、放課後児童クラブ、放課後等デイサービス、児童館等へのAED設置についてお尋ねします。私は、これまでの一般質問でこれらの施設への一日も早いAED設置を提案してまいりました。資料請求する中で、このうち児童館等について、以前は全14施設の内、民設民営の施設1施設及び同一敷地内別棟にAEDがある児童館3施設を除き、10施設すべて未設置であった児童館、児童センターすべてにAEDが設置されていることが分かりました。このことは、子どもたちを預かる施設として大きな安心につながっており評価いたします。
しかしながら、放課後児童クラブ、放課後等デイサービスにおいてAED設備の無い施設が見られます。設置されていない背景は何か。働きかけは行っていないのかお尋ねします。
【福祉部長】
放課後児童クラブの設備基準や運営指針等において、AEDの設置義務や努力義務は課されておりませんが、厚生労働省がまとめた「AEDの適正配置に関するガイドライン」において、「学童保育に対する配慮も必要」であると定められております。
放課後等デイサービスについては「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業の人員、設備及び運営に関する基準」において、「AEDの設置が望ましい」と定められております。
いずれも義務化されていないことが、全ての施設に設置されていない要因の一つであると考えられますが、市としましては、子どもたちのより安心・安全な環境づくりのため、これらのガイドライン等に則り、法人又は事業者に対し、AED設置への御理解、御協力を求めてまいります。
放課後児童クラブ、放課後等デイサービスどちらの施設も、放課後の子どもたちを預かる大事な施設です。近接する施設にAEDがあるクラブ、事業所もありますが、実際に現地へ行くと、車で往復10分かかるところもありました。
ご存知の通り、AEDが必要とみられる状態になった場合、電気ショックまでの時間がかかればかかる程生存退院率は減少していきます。1分当たり10%ずつ減少し10分もかかれば、生存退院率は10%以下になります。まさに、1分1秒が勝負です。
答弁にありましたように、子どもたちの安心・安全な環境作りのために、やり方はいろいろ考えられますので、100%設置に向けて取り組んでいただきたいと思います。
次に、ファミリー・サポート・センターの利用についてお尋ねします。昨日の同僚議員への答弁の中で、5340件程の利用があるとの答弁がありました。多くの利用がされており、ファミリーサポートセンター利用の補助事業の成果が出ていると思います。
しかし、子育て中のママさんからファミリーサポートセンターは利用しづらい部分があるとの御意見を頂戴しました。ご意見としては、いくつかありましたが預けたい時にすぐに預けられないという意見が強かったように感じました。そこで、ファミリーサポートセンターでは、子どもを預けるために何日前から予約が必要なのかお尋ねします。
【福祉部長】
ファミリーサポートとは、育児などの援助を受けたい方と援助を行いたい方の相互援助活動であり、利用に当たっては、事前の会員登録及び援助会員と利用会員の顔合せが必要となります。事前の利用会員登録の際には、事業の趣旨と仕組みについて御理解いただくため、約30分の説明を聞いていただくこととなっております。これらの仕組みは援助会員、利用会員共に、安心してこの事業を御利用いただくために必要なものであると考えております。
実際の御利用に当たっては、何日前までに予約が必要という規定はございませんの
で、例えば、当日緊急の利用相談があった場合にも、可能な限り対応できるよう努めております。
しかし、大事な子どもの命を預かるという責任を果たすためには、できる限り余裕を持って登録と利用の御相談をお願いしたいと考えております。
利用するには、いくつかのステップがある事が分かりました。緊急な当日の利用相談にも対応しているとのことで安心しました。ご意見の中には、登録時の30分間研修もハードルがあるとの意見もありました。実際に、県内の自治体をみますと1時間受けないといけないところもいくつか見られ、本市はハードルとして低いのかなと思った所ですが、小さなこどもを抱えて確保しないといけない時間ですので、今後、電子母子手帳や市のHP等を活用して、家にいても登録できる仕組みの構築を提案いたします。
次に、託児所を増やす取組についてお尋ねします。先ほどのファミリーサポートセンターの質問とも関連しますが、ぷれぴかも含めて、一時預かり所は官民でありますが、事前予約が必要であったり、預けたいタイミングで預けられない、受け入れられても施設側に嫌な顔をされた、などの声があります。利用しやすい環境作りのためにどのような取組を行っているのかお尋ねします。
【福祉部長】
一時預かり事業を行っている施設には、一時預かりのために専任保育士を配置している施設と、保育士等の余裕がある場合に一時預かりを行っている施設があり、その他、認可外保育施設が行っている一時預かりもあります。
専任保育士を配置している施設では、保育所等に通っていない児童について、保護者の就労や疾病、私用等の理由により、月14日以内でお預かりすることができます。本市では、保育所や認定こども園、子育て世代活動支援センターぷれぴか等、29か所で実施しております。一時預かりを利用したい保護者は、各施設へ空き状況を問合せていただき、事前に申し込みをしてもらう仕組みとなっております。
保育士等の余裕がある場合に行っている施設は、施設の保育士数や入所児童に応じて受け入れを行っております。そのため、一時預かりの申し込みをお断りする場合があります。
認可外保育施設が行っている一時預かりでは、日曜・祝日も子どもの受け入れをしたり、事前予約なしでも受け入れることができたりと柔軟に児童の受け入れを行っているところもあります。
安心安全に保育を行うためには、一時預かりであっても、事前に保育士と保護者で連携して、子どもの状態を確認することは非常に大切であると考えております。しかしながら、保護者の要望に応じた施設の情報を提供することにより保護者の利便性にも配慮してまいりたいと思います。
ママさん方から頂いた意見で、東京からこちらに戻られ託児所の少なさに驚いたという意見や、義実家でも頼りづらいといった意見、1時間700円かかる託児所に2~3時間預けることがある。当日対応もできて非常に助かっている、もっと託児所を増やしてほしいとの意見もありました。10月から幼児教育・保育の無償化を全面的に実施されます。その中で、課税世帯では無償にならない0歳~2歳児の問題があります。厚生労働省が公表しております、30年の待機児童のうち88.6%が0歳~2歳児です。この年齢に当たるお子さんのいる家庭では、施設に預けないケースが出てくるのでは感じております。そういうご家庭の一助にもつながると考えますので、今後より一層のサービス向上と環境整備に取り組んでいただきたいと思います。
最後に、山之口子育て支援センターの施設整備についてお尋ねします。先日、この施設を利用されている市民の方々から、施設の老朽化についての相談がありました。山之口子育て支援センターは、他と比べ老朽化が進んでおり、予算的に網戸一枚も張替えられない状況が見られました。男子小便器の故障や冬場のトイレの寒さ等、利用されている保護者の方々から改善の声が寄せられているが、修繕、改良できないのかお尋ねします。
【福祉部長】
子育て支援センターの修繕・改修等につきましては、利用者及び施設管理者からの要望に基づき、緊急度・優先度等を考慮しつつ、計画的に修繕・改修を進め、利用者に安心して御利用いただけるよう努めてまいります。
この施設は、もともと保育所だったところを利用している関係もあり、かなり古い施設です。利用者の方からは、センターの対応等については、非常に高い評価を頂いていると感じました。今後、施設の在り方も含めて検討する所に来ていると感じておりますが、利用される市民の方々に不便をかけないように、また、未来を担う貴重な子どもたちが来る施設でもありますので、これまで以上に積極的に安心・安全な環境作りに取り組んでいただきたいと思います。以上ですべての質問を終わります。
コメントをお書きください