◎中山間地域振興策と六次産業化の現状と対策
問1)中山間地域振興計画の26年度の取組について
おはようございます。市民同志会の川内たかゆきでございます。元気みなぎる都城を目指して頑張っております。よろしくお願いいたします。
それでは、通告に従って、中山間地域振興策と六次産業化の現状と対策について順次質問してまいります。これまでの同僚議員からの質問と重複するものもあるかと思いますがご了承ください。
さて、昨年の5月に発表された日本創成会議・人口減少問題検討分科会による「消滅可能性都市」の問題は、日本全国に大きな波紋をもたらしました。本議会でも私をはじめ、多くの議員がこの問題について質問をしております。
また、この問題を受け、国はまち・ひと・しごと創生本部を立ち上げ、「まち・ひと・しごと創生法案」「地域再生法の一部を改正する法律案」の2案が可決、成立するなど本格的に地方創生に乗り出しはじめました。
地方創生法については、今議会でも多くの議員が質問しているところですので詳しく触れませんが、そもそもこの法案で謳われているものは決して新しいものではなく、兼ねてより地方が苦慮していたものを国が取り上げたというのが私の印象です。しかしながら、このことにより地方への関心が強くなったことは事実であり、これまで停滞していたものが前進し始めているというのも事実であります。
このあたりも踏まえまして、本市で昨年度策定された「中山間地域振興計画」について質問してまいります。本計画については、昨年の6月議会でも質問しておりますが、策定されたばかりで実績はこれからということでありましたので今回改めて質問いたします。
はじめに、計画に基づき26年度はどのような取組を行ったのかお尋ねいたします。以上で壇上からの質問を終わり、以降は自席にて行います。
【総合政策部長 答弁】
「都城市中山間地域等振興計画」につきましては、中山間地域等の振興に関する施策を総合的かつ横断的に推進するために、昨年3月に策定いたしました。
本計画では「生活環境の維持・充実」「集落の活性化」地域資源の活用・産業振興」「環境保全・防災対策」の4つの重点方針を掲げております。
この重点方針に基づき、中山間地域等の振興の必要性を各部局が認識し、地域活性化事業や交通弱者対策などの事業を体系的に行うことで、より実効性のある成果を生み出して行きたいと考えております。
今年度の主な成果といたしましては、6次産業化による中山間地域等の活性化を目的として、セミナー開催、リーダー育成事業及び新商品開発に対する支援を実施してまいりました。これらの事業を事業を通じて、6次産業化への機運醸成が図られ、新商品開発への取り組み意向を示している集落などをございます。
来年度も引き続き、各部局と連携して積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
今年度は、おもに6次産業化にスポットを当てたという印象ですが、新年度、27年度の計画についてどのようなものがあるのかお尋ねいたします。
【総合政策部長 答弁】
平成27年度の計画につきましては、地域振興基金を活用した地域活性化事業や、中山間地域等の住民や団体の方々を対象とした6次産業化関連事業を引き続き実施するとともに、新たに買い物困難者支援事業や移住・定住推進事業などにも取り組む予定にしております。
各部局及び県をはじめとする関係機関とも連携しながら、引き続き中山間地域等の活性化に取り組んでまいりたいと考えております。
概要はおおよそ把握したところですが、中山間地域振興計画には4つの重点方針が示されており、前回の質問では、重点方針に則り全庁挙げて取り組むとの回答をいただいておりますので、そのあたりを詳細にお聞きしたいと思います。まず、「生活環境の維持・充実」について、これまでの取組と今後の計画をお尋ねいたします。
【総合政策部長 答弁】
「生活環境の維持・充実」におけるこれまでの主な取組につきましては、例えば、高齢者の“おでかけ”のきっかけづくりと公共交通利用促進などを目的として、庄内地区及び西岳地区のまちづくり協議会との共催で「バスの乗り方教室」を実施いたしました。この教室では、普段、あまり路線バスを利用する機会が少ない高齢者の方々に路線バスに乗っていただき、路線乗り換えの待ち時間には、事業者によるバス利用に関する説明も実施されました。参加者からは「路線を守るためにも、今後も積極的にバスを利用したい」といった声も頂いており、好評を得たところでございます。
今後の主な取組といたしましては、例えば、買い物困難者支援事業が挙げられます。この事業は、中山間地域等の人口減少や高齢化の進行により、身近な商店が閉店するなど日常生活に必要な食料品等の購入が困難である地域において、事業者が買い物困難者に対して移動販売を行うものです。この事業を通じて、買い物機会を確保・維持するとともに、個人消費の喚起を促していきたいと考えております。
「生活環境の維持・充実」に関する取り組みですが、なぜ高齢者の皆さんはバスを利用する機会が少ないのでしょうか、庄内地区及び西岳地区では“おでかけ”を促進することで生活環境の維持・充実が図りやすいのでしょうか。また、買い物困難者支援事業は買い物難民をカバーする重要な施策でありますが、具体的にどの地域がこういう状況であるため、この事業が必要だ。たとえば、この集落は半径何km以内に商店がなく、路線バスも乏しい状況があり買い物困難者支援事業が必要といった、各集落ごとの細かな現状把握、問題抽出が必要ではないでしょうか。「中山間地域」とひとまとめにせず、集落状況の把握に努めその状況に即した「生活環境の維持・充実」を図るべきだと考えます。ぜひとも、各地域との連携を密にしてより細やかで確かな対応をとれるようご検討いただきたい。
次に、重点方針「集落の活性化」についてこれまでの取組と今後の計画をお尋ねします。
【総合政策部長 答弁】
「集落の活性化」におけるこれまでの主な取組につきましては、例えば、地域活性化事業として、高崎地区において地域おこし協力隊を採用いたしました。地域おこし協力隊は、地方自治体が都市住民を受け入れて、嘱託職員として雇用し、地域おこし活動や住民生活の支援など、地域協力活動に従事してもらい、あわせて定住・定着を図りながら、地域活性化に貢献する取り組みであります。
11月の着任後、まだ数カ月しか経過しておりませんが、都市部などでの経験を生かした今後の活動に期待しているところでございます。
今後の主な取組といたしましては、平成27年度はあらたに移住・定住の促進を重点的に推進する予定にしております。具体的には、昨年度から実施している移住相談会への参加に加え、新たに、移住希望者向けの情報発しツールとして空き家バンクの創設や、居住支援として空き家リフォーム事業を実施するとともに、本市の魅力や生活環境を体感していただくためのお試し滞在事業も実施する予定としております。
「集落の活性化」において、県外からの移住者の方が地域振興に大きく寄与している事例は本県のみならず、全国的に広がりを見せています。そういう意味では非常に期待したい事業であります。空き家バンクや空き家リフォーム補助金事業については、ようやくといったところですが、日ごとに増える空き家問題、集落人口減少に有効な事業の一つだと思います。ただ、移住相談会などを通じて、どれだけの移住者を呼び込みたいのか、どの集落とマッチングさせていくのかなど、ただ来てください来てくださいではなく、具体的な取組目標や詳細な移住定住計画が必要ではないでしょうか。
また、計画内で記載されている、次世代を担う人材の育成、外部からの刺激も必要ですが今集落に求められているのはこちら側だと感じています。そして、計画に記載はないですか集落の一人一人のこれまで以上の結びつきの強化、一体感の涵養こそ「集落の活性化」に直結するものと考えます。ぜひとも、このあたりも含めて取り組んでい頂くことをご提案いたします。
次に、重点方針「地域資源の活用・産業振興」についてこれまでの取組と今後の計画をお尋ねします。
【総合政策部長 答弁】
「地域資源活用・産業振興」におけるこれまでの取組につきましては、6次産業化関連事業が挙げれられます。本年度から取り組んでいる地域資源を活用した6次産業化リーダー育成事業では、6次産業化に関心のある公民館長や農業されている方、さらには加工グループの方をはじめ19名の方々に、6次産業化に関しての講座を受講していただきました。また、事業の一環として「やねだん」の名称で有名な鹿屋市の柳谷自治公民館にも視察を行い、地域資源の活用、ひいては集落の活性化について研修を実施したところでございます。
今後の主な取組といたしましては、引き続き、地域資源を活用した新商品開発などの6次産業化関連事業を実施するとともに、都城インター工業団地への企業誘致促進やスポーツ運動施設を活用した合宿などの誘致にも取り組んでいく予定にしております。
6次産業化が地域資源活用・産業振興に結び付くのはもっともでありのちの質問にも関連しますので大いに進めるべきだと思います。しかしながら、全地域で19名の参加者とのことですが、内訳は山之口6名、高城1名、山田3名、高崎2名、志和地2名、庄内2名、西岳1名、中郷2名となっています。これいかがでしょうか、非常に少数に思えてなりません。講座の内容は資料を拝見する限り、濃い内容であると思います。それだけに、どういう呼びかけでこの人数になったのか、地域が納得して代表としてこの人数で折り合いが付いているのか。大多数に呼びかけたけれどもこの人数にしかならなかったのか。もう少しというか、どうにかすべきではないでしょうか。のちの質問にも関連しますが、地域における六次産業化の可能性は重要です。そして、そのリーダーとなる方を一人でも多く育成することが集落での六次産業化への近道だと思います。本年度も予算化されておりますので、これまで以上に課題の重要性と情熱を注いで参加者を増やすべきだと思います。ぜひご検討ください。
次に、重点方針「環境保全・防災対策」についてこれまでの取組と今後の計画をお尋ねします。
【総合政策部長 答弁】
「環境保全・防災対策」におけるこれまでの主な取組につきましては、中山間地域等の美しい自然・田園景観を「まもり、つくり、そだてる」ために、景観計画に基づく景観まちづくりを進めるとともに、環境教育や環境イベントなどを通じて、自然環境保全の意識を高める取り組みを実施してまいりました。また、自主防災組織の結成率向上に努めるとともに、今年度は高城町を中心に合同防災訓練を実施したところでございます。
今後も引き続き、自然環境保全に努めるとともに、防災意識の啓発を行い、自主防災組織の活動支援に取り組んでまいります。
中山間地域の景観は大切ですが、今問題となっているのは、計画にうたってある鳥獣被害の拡大、林業の担い手不足といった問題ではないでしょうか。西岳から山之口方面においては、鳥獣被害が深刻化しており地域集落の実情に沿った対応が急務となっております。それは、補助金で電柵やフェンスを設置するばかりでなく、地域一体となった取り組みの推進、鳥獣被害に強い自然環境の構築といったものなど大きな課題です。猟友会との連携、鳥獣被害対策協議会や北諸県地域鳥獣被害対策特命チーム、管内の先進地域と連携をしながら個人個人ではなく、各集落を巻き込んだ抜本的、大規模な働きかけが必要だと思います。
また、自主防災組織の結成については地域全体の課題としては、まだまだ周知不足に感じています。自主防災組織は、地域の実情を再認識するとともに災害時の人とのつながりを意識することで、日常生活でのつながりの強化にもなり、ひいては集落活性化にもつながると考えますので、より一層の啓発と意識向上に取り組んでいただきたいとおもいます。
さて、計画に掲げられている4つの重点方針についてお尋ねいたしましたが、本計画には関係機関との連携として国、県との連携がうたわれていますがそのあたりの取り組みがあるのかお尋ねします。
【総合政策部長 答弁】
関係機関との連携につきましては、おもに宮崎県中山間・地域政策課や宮崎県産業振興機構などとの連携強化に努めております。たとえば、集落からの相談に対して連携して訪問したり、セミナーの共同開催に取り組んでまいりました。
また、「いきいき集落」や「中山間盛り上げ隊」といった県の事業では、集落の要請に基づき、市を通じて県に申請していくことになりますので、その連絡・調整をおこなっております。このたび、高城14地区が、新たに「いきいき集落」の認定を受けられ、これにより本市では9地区が認定を受けたことになります。
今後も、関係機関との連携を密にしながら、集落の主体的な取組を支援してまいります。
県全体においても、9割が中山間地域となっているので今後も、連携を強化して一体的に取り組んでいただきたいと思います。
昨年12月27日に「まちひとしごと創生総合戦略」が閣議決定され、本市でも1月7日に地方創生推進本部が設置されました。実にスピード感のある対応で今後の本市のまちづくりに大きく寄与するものと期待しておりますが、先に計画された中山間地域振興計画においては、各部局の取組について一体感が弱く感じますが、そのあたりの連携はどのようになっているのか、また、地方創生推進本部との連携についてお尋ねします。
【総合政策部長 答弁】
都城市中山間地域振等振興計画に基づく各種事業の実施にあたりましては、各部局と連携して取り組んできております。例えば、6次産業化関連事業につきましては、六次産業化推進事務局と連携しながら、セミナーやリーダー育成事業を実施しております。また、集落からの相談に対しましても各総合支所などとも情報共有を図りながら対応しているところでございます。
地方創生推進本部におきましては、国のまち、ひと、しごと創生総合戦略などを勘案し平成27年度に地方版総合戦略を策定する予定にしておりますので、中山間地域等の振興についても議論してまいります。
各部局との連携がとれているようで安心しましたが、今後この中山間地域の問題は、年々大きな問題となることは明白です。今国会においても、安部総理から地方版総合戦略による地域独自地方創生に期待する旨の発言もありました。だからこそ、各方面との連携強化、取り組みの緻密さ計画性がより一層問われると思います。
そこで、ひとまず最終年度の29年度末時点で、どのような中山間地域未来像を描いているのかお尋ねします。
【総合政策部長 答弁】
本計画では、「笑顔あふれる持続可能な地域づくり」「地域資源を活用した魅力ある地域づくり」「自然と共に生きる災害に強い地域づくり」の3つの基本目標を定めております。また、地域住民の皆様が地域に愛着と誇りを持ち、安心してこれからも住み続け、豊かな地域資源を次世代に継承していくことが重要であると考えています。
これらの基本目標を達成するために、「生活環境の維持・充実」「集落の活性化」「地域資源の活用・産業振興」「環境保全・防災対策」という4つの重点方針に基づく各種事業を着実に実施することが必要であります。
そのためにも、市といたしましては、中山間地域等の実情や課題の把握に努めながら、各部局及び県をはじめとする関係機関とも連携し、地域住民の皆様の主体的な取組を支援してまいりたいと考えております。
地域住民の主体的な取組への支援はもとより、何よりも、行政サイドとしても机上の仕事ではなく、各地域に軸足をおいた熱い思いをもってしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
さて、本市における中山間地域の占める割合は約9割に上り、宮崎県全体でも中山間地域の占める割合は約9割にのぼります。この中山間地域の問題を抜きにして本市の明るい未来はないと考えるわけですが、市長として中山間地域の現状をどのようにとらえ、今後どのような未来像を見ておられるのかお尋ねいたします。
【市長答弁】
中山間地域等につきましては、面積にして本市全体の約90%、人口にして本市全体の30%を占め、そこで暮らす人々の生活の場であるとともに、食料の供給を始め、多面的な機能を有する重要な地域だと認識しております。
しかしながら、急激な人口減少や高齢化の急速な進展など、中山間地域を取り巻く環境は厳しさを増しており、基幹産業である農林畜産業の維持や人口流出、集落機能の低下など多くの課題を抱えています。
このような地域課題に対処するため、地域振興基金2億円を財源に、25年度から28年度までの4年間を事業期間とし、地域活性化につながる様々な取組を支援する地域活性化事業に取り組んでいるところでございます。また、中山間地域等の振興に関する施策を総合的かつ横断的に取り組むために「都城市中山間地域等振興計画」を昨年3月に策定いたしました。
人口減少対策や、地方創生が大きくクローズアップされるなか、ほんしにおきましても、平成27年度に地方版総合戦略を策定する予定にしておりますが、中山間地域等の振興なくして、地方創生はなし得ないと考えておりますので、住民の皆様や関係機関などのご意見もお聞きしながら、しっかりとした取組をして参りたいと考えております。
大変な時代、大変な地方の現状を打開していくには相当のエネルギーが必要であり、この問題はそうそう時間をかけられる問題でもないためスピード感と長期展望、地域に即した緻密な計画への早期取り組みが求められると思います。中山間地域の振興なくして地方創生はなし、ぜひとも未来に誇れる取組を今後も期待したいと思います。
◎六次産業化の現状と対策について
つづいて、六次産業化の現状と対策について質問してまいります。昨年、六次産業化推進計画が策定され、三カ年計画と目標値が示されたわけですが、昨年の目標達成状況について、新たに取り組んだ事業者数、6次産業化商品開発数、国の総合化事業計画認定数についてお尋ねいたします。
【六次産業化推進事務局長 答弁】
平成27年2月末現在、本年度新たに6次産業化に取り組んだ事業者の数は8件、新たん開発された商品の数は23件となっており、目標を達成しています。国の総合事業計画につきましては、宮崎県農業公社と連携し、数件について認定に向けたフォローをしてまいりましたが、年度内の認定は1件でした。
国の認定を受けるためには、健全な経営状況や販路の確実性、所得向上の実現性といった熟度の高い計画が求められます。現時点では熟度不足とみなされ、認定に至らなかった事業計画については、次年度以降も認定を目指して引き続きフォローしていきます。
先月末時点での全国の総合事業化計画の認定件数累計は2056件に上り、地域別では九州が累計359件と最も多くなっています。九州内では宮崎県が81件と一位であり全国でも4位であることから取組への一定の成果は上がっているようです。
しかしながら、制度が始まったからの認定数を見てみると平成23年度が、691件ともっとも多く、その後は24年度579件、25年度488件と年々減少しており、本年度は最も認定数が少ない282件なっています。このことからも認定基準になかなか達しない事業者が多数いることは想像にたやすく、そういう意味では、国の認定外の部分をカバーする本市の取り組みは、意欲のある農家の方々にとって大変プラスに働いていると感じております。
このように、けっしてたやすいものではない六次産業化ですが、多くの農林畜産業者の方々が苦労されて生み出される新商品があります。本市における新商品の事例や販売状況はどうなっているのか、また、今後の新商品予定をお尋ねいたします。
【事務局長 答弁】
本年度の新商品フェアに出品された実例を紹介いたしますと、豚肉や鳥肉を使った惣菜や冷凍食品、椎茸の風味を生かした佃煮や餃子、機能性農産物を使ったお茶、ブルーベリーを使った洋菓子、また、郷土料理である「がね」の真空パック詰めなど、多種多様な商品が生み出されています。
2月11日には東京浅草でもフェアを開催しましたが、その際の販売状況を見てみますと、1日のみの開催にもかかわらず12万程度の売り上げがあり、手ごたえを感じているところです。
現在も、複数の農林畜産業者が商品開発を進めており、今後も魅力的な新商品の誕生が期待されることから、引き続き新商品の認知度向上のための取組を積極的に進めていきたいと考えています。
道の駅都城で開催された新商品フェアに足を運ばせてもらい、販売されていたどの商品も意欲的でかつ消費者として満足いくものばかりだと感じました。取り組んでいる皆さんの努力の様子が商品から伝わってきました。
と同時に、これから成功事例を増やし、六次産業化がしっかりとした「産業」として根付くまでには多くの課題があると改めて感じたのも事実です。六次産業化推進実施計画3カ年のうち一年が過ぎたわけですが、見えてきた課題としてどのようのもがあるのかお尋ねいたします。
【事務局長 答弁】
これまで、様々な農林畜産業者から相談を受けましたが、「販路確保」を大きな課題の一つとしてとらえています。
具体的には、マーケットインの視点に立った商品作りや、商品の魅力の伝え方などの分野に、より積極的な支援が必要と感じているところです。
この課題に取り組むに当たっては、農林畜産業者が、経営者として、自らの農業経営全体をどうしていくのかといったビジョンをしっかり持って、計画性をもった事業実施を行うことが重要だと考えます。
様々な課題が見えてきておりますが、それらを踏まえた新年度の取り組み予定などについてお尋ねいたします。
【事務局長答弁】
販路確保の取り組みにつきましては、まず、地域内での認知向上を図るため、今年度に引き続き、フェアの開催など、販売促進につながるイベントを積極的に行っていく予定です。また、地域外への販路拡大に向けては、大都市圏における食材試食商談会や展示商談会への参加に加え、バイヤーなどを招聘しての商談会への参加など、販路マッチングの機会を多く創出することが必要と考えています。
人材育成の取り組みにつきましては、農林畜産業者個々の経営課題に応じて、関係機関の専門家派遣制度などを活用し、経営力の向上をはかってまいります。
また、はばたけ六次産業化推進協議会の「6次化事業者育成支援プロジェクト」などにより、他産業を含めた幅広いネットワーク構築とそのネットワークを生かした実勢的な事業者育成プログラムを計画していきたいと考えています。
販路拡大は利益を上げる、商品の認知度を上げるといった点で事業者にとって非常に重要であります。どういう商品が求められているのかという点では、マーケットインいわゆる消費者視点に立った商品開発は非常に重要でしょう。例えば、高齢社会の現代において、そこをターゲットに開拓するのも一つの手法だと言えます。
しかしながら、世の中に多種多様の商品が存在する中で、独自性の強い商品を生み出すプロダクトインでも、相当な市場調査のうえでの商品開発が必要なマーケットインでも結果を出すのは大変苦労するものです。六次産業化においても例外ではなく、ジャム、ドレッシング、真空パック、など全国に類似品はあふれています。そこにいかほどの勝機が見いだせるのか。奇をてらいすぎた商品ではうまくいかない。
しかし、そこを攻略するのが「地域内での認知向上」であると考えます。六次産業化推進実施計画の中でも記載されていますが、地産地消の推進、地場産品への愛着、みんなで支える気運の高まり、まさにこういったものが今後の六次産業化には大変重要であり、こういった地域マーケット特性を生み出すことで大手商品や類似品に負けない地元競争からの本当に強い商品が生まれていくと考えます。まずは、地域で愛されてこそであり、その背景があるからこそ地域外でも評価されるのではないでしょうか。そこで、今後、地域内での認知向上も含め、六次産業化をメインとしたイベントの開催についてお考えがあるのかお尋ねいたします。
【事務局長答弁】
平成27年度も、報道機関向けの新商品発表会や一般消費者に向けたフェアなどのイベント開催により、6次産業化に取り組む農林畜産業者とその商品の認知度向上を図る予定です。
特にフェアに関しては、より多くの市民が6次産業化を身近に感じ、6次産業化商品が地域に愛される商品となるよう、市内で開催される「地場産業まつり」や「都城ぼんち市」などと連動し、計画していきたいと考えています。
できることなら各イベントと抱き合わせでなく単独でイベントができないものかと欲も出ますが、イベントを通じて多くの市民の方々に六次産業化とはどういったもので、それを進めることでどういった効果が期待され、最終的に都城がどういう市になっていくのか、この分野でどうなることを目指しているのかという明確なビジョンを示すこと。そして、その可能性と夢を市民の皆様に共有してもらえるかが非常に重要だと考えます。
残念ながら、現状では六次産業化は自分には関係ない、進めているがどういう意味があるのかという意見も耳にします。その都度お話をするのですが、関係者中心の分野になっているイメージがあるのも事実です。市民共通の目標として六次産業化を応援していく体制を作ること、そうすることで、先ほども述べましたように、大手企業の商品とも戦える郷土愛にあふれたマーケットが構築され、まさに六次産業化が都城の「産業」として確立されていくのではないでしょうか。
さて、六次産業化が叫ばれて4年が経過しておりますが、まだまだこれからの分野であります。この4年で地方の現状は大きく変わったように感じております。そして、地方創生の大合唱のもと新たな局面を迎える今、市長として六次産業化推進へのお考えをお尋ねいたします。
【市長答弁】
常々、「三つの宝を輝かす」と申し上げていますが、中でも本市の基幹産業である農林畜産業の振興は、地域社会全体の発展につながるものであり、6次産業化はその原動力になるものと考えております。
さらに言えば、6次産業化を推進することは、農林畜産業と他産業との連携・融合による「新たな産業」を創出することでもあり、これによって地域の所得向上と雇用創出をもたらし、地域経済の活性化につながっていきます。
だからこそ、本市としましては、やる気のある農林畜産業者の取り組みを積極的に支援し多くの成功事例を創出することにより、この6次産業を産業として確立させたいと考えています。
六次産業化の理念はまさにそのとおりであります。しかしながら、その理念に行きつくまでは農林畜産業者はもちろん行政、そして私を含め相当の努力が必要であります。何を持って成功事例とするのか。商品ができました、実績ができました。あとは個々人の経営の問題です。というのではなく、やはり、所得向上、雇用創出、地域ブランドの確立、地域経済の発展といった最終ゴールにたどり着けてこそ真の成功事例ではないでしょうか。やるからには目標数字の達成や実績づくりのみにとらわれず、真の成功事例をつくり、新たな「産業」と確立されるようにとことんやっていただきたい。国の六次産業化による市場目標は本年度3兆円、5年後の32年度に10兆円を掲げております。今後も意欲的かつ本市が全国をけん引していくような六次産業化推進をご期待申し上げすべての質問を終わります。
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